
母乳育児について、ジーナ式とトレイシーでは考え方に違いがあります。
本記事では、私自身がジーナ式を実践し、トレイシーの著書も読み込む中で感じた「母乳の成分をどう捉えているのか」という前提の違いを、比較しながら整理していきます。
どちらが正しい・間違っているという話ではなく、同じ母乳育児でも、どんな視点で組み立てているのかを理解するための記事です。
ジーナ式
授乳の前提|流れ・配分・全体像
ジーナ式は、授乳回数を無理に減らして夜通し眠らせることを目的にした方法ではありません。
日中の授乳や睡眠の流れを整えることで、夜中に目を覚ます回数を少しずつ減らしていく、という考え方を基本にしています。
授乳間隔が少しずつ空いてくると、長く眠れる時間は、日中ではなく夜間になるようにスケジュールが組み立てられています。
そのため、新生児期〜低月齢のうちは、授乳のために赤ちゃんを起こすこともあります。
でもそれは、「今すぐ夜通し寝るため」ではなく、将来的に授乳間隔が空いていくことを見据えたスケジュールと考えられています。
母乳の考え方
ジーナ式では、母乳育児を安定させるために、できるだけ早い段階でのサポートが重要だと考えられています。
- 母乳の成分や作られる仕組みを知ること
- 授乳量が増える時期、逆に飲まなくなる時期を理解すること
- その変化に合わせて、スケジュールをどう調整するか把握しておくこと
が大切とされています。
母乳の出方や赤ちゃんの飲み方は一定ではないため、知識をもとに全体の流れを見ながら調整していく、という考え方がジーナ式の前提にあります。
トレイシー
授乳の前提|サイン・反応・1回ごと
トレイシーの考え方では、赤ちゃんのサインに反応しながら授乳を行うことが基本とされています。
赤ちゃんをよく観察し、空腹や疲れといった「サイン」を読み取ることを大切にしつつ、その場しのぎではなく、生活リズムを作るために親が導いていく、という前提があります。
時間や量を厳密に管理するよりも、赤ちゃんの欲求に応じた授乳を重視し、授乳間隔やリズムは赤ちゃんの様子に合わせて変化していくものとして考えられています。
母乳育児の考え方
トレイシーでは、母乳の成分や出方に関する説明が多く見られます。
母乳の成分などの考え方をもとに、赤ちゃんがしっかり満足できているかを判断しながら、授乳を調整していくことが特徴です。
そのため、授乳はスケジュールよりも、1回1回の授乳の質や赤ちゃんの反応を見ながら進める、という考え方になります。
母乳の成分
ここでは、ジーナ式とトレイシーそれぞれが、母乳の成分をどのように捉えているかを比較していきます。
ジーナ式
初乳
出産直後に作られる母乳のこと
- 成乳に比べて糖質・脂質が少なく、たんぱく質やビタミンが豊富
- 母親がこれまでにかかった病気の抗体を含む
- 成乳と比べて濃く、黄色ぽい
成乳
産後3〜5日目頃から出始める母乳のこと
- 胸の張りや痛みを感じることがある
- 授乳中に成分が変化していく
前乳
授乳開始後、はじめの方にでる母乳のこと
- 水分が多い
- 脂質が少ない
前乳ばかりを飲んでいる場合
これは「悪い飲み方」という意味ではなく、低月齢ではよく見られる状態です。
- 早くに空腹になりやすい
- コリックのような状態になりやすい
後乳
授乳開始後、時間が進むにつれて出てくる母乳
- 脂肪分が多い
- 腹持ちがよい
- 生後1〜6週頃までは、後乳に達するまで30分以上かかることもある
トレイシー
初乳
- 出産後3〜4日間にでる母乳のこと
- 濃い黄色がかった色
- 栄養価が高い
- 多くの抗体を含む
クエンチャー
授乳開始から最初の5〜10分に出る母乳
- 水分・乳糖が多く、喉の渇きを癒す
- オキシトシンが多く含まれ、眠くなりやすい
クエンチャーばかり飲んでいる場合
これは「悪い飲み方」という意味ではなく、低月齢ではよく見られる状態です。
クエンチャーは乳糖を多く含むため、量や飲み方によっては、お腹が張ったり、腹痛のような不快感が出やすいと言われています。
フォアミルク
授乳開始から5〜10分間後に出る母乳
- タンパク質が多い
- 骨や脳の発達に良いとされている
ハインドミルク
授乳開始から15〜18分後に出る母乳
- 高カロリー
- 脂肪分が多い
- 体重増加を助ける母乳
母乳成分の捉え方まとめ
ジーナ式とトレイシーでは、母乳の成分に対する呼び方や説明の仕方に違いがあります。
しかし、伝えようとしている内容や意味合いそのものは、大きく変わらない部分も多いという点は、知っておいてよいポイントです。
たとえば、ジーナ式でいう「前乳」と、トレイシーでいう「クエンチャー」は、表現は違っていても、授乳のはじめに多く出る、水分が多く脂質の少ない母乳を指しています。
用語の違いにとらわれすぎず、「母乳は授乳の途中で成分が変化する」という共通の前提を押さえておくことが、理解しやすさにつながります。
母乳育児で気をつけたいこと
ジーナ式の場合
ジーナ式では、母乳育児を安定させるために、出産直後からの授乳の組み立て方を重視しています
- 母乳量を把握しながら、全体の配分を考える
- 出産直後は「頻繁に・少量ずつ」の授乳が不可欠
- 新生児期は、授乳間隔を3時間以上あけない
- 片胸をしっかり飲み切ってから、もう片方に移る
搾乳について
ジーナ式では、母乳の分泌は「需要と供給」で決まる、という前提があります。
- 早い段階から搾乳を取り入れる
- 新生児期は、片胸だけで満足してしまうことが多い
- 生後2週間ほどで両胸からの授乳が必要になることが多い
そのため、将来の授乳量増加を見据えて、搾乳で刺激を与えておくという考え方が取られています。
特に、胸の張りが強く出やすい午前中は搾乳に適した時間帯とされ、成長期に授乳量が増える7:00・11:00の授乳につなげる目的で、スケジュールを活用することもあります。
トレイシー
トレイシーでは、赤ちゃんがしっかり吸えているかどうかを重視した母乳育児が基本です。
- 母乳が出るようになったら、基本は片方授乳が空になるまで吸わせる
- 吸い方や飲み方を確認する
- 母乳量が不安な場合は、量を測って確認する
- 必要であれば、粉ミルクで補うことも選択肢
- 授乳が毎回10分以内で終わる場合は注意が必要
搾乳について
トレイシーでは、搾乳はあくまで補助的な手段として位置づけられています。
- やむを得ない場合を除き、3日以上続けて搾乳しない
- 赤ちゃんの口による刺激を優先すること
まとめ
ジーナ式とトレイシーでは、母乳育児における具体的な方法や搾乳の位置づけに違いはあります。
ただし、どちらも「母乳は刺激によって増える」「片胸を飲み切ってから」という共通の前提を持っています。
違いは、
ジーナ式:将来のリズムや配分を見据えて先回りで整える
トレイシー:その時の吸い方や反応を重視して調整する
という考え方の置きどころにある、と整理できます。
さいごに
ジーナ式を取り入れる上で、トレイシーの考え方を知り、比較しながら理解を深めることは、授乳を組み立てていくうえで多くのヒントになります。
今回まとめた「母乳育児」は、非常に繊細なテーマです。
だからこそ、ひとつの文献だけに頼るのではなく、複数の考え方を比較し、参考にすることが、自分自身が苦しくなりすぎないためのひとつの方法だと感じています。

◼️ジーナ・フォード「カリスマ・ナニーが教える 赤ちゃんとおかあさんの快眠講座」,朝日新聞出版,2020/1/20
◼️Gine Ford「The Complete Sleep Guide For Contented Babies & Toddlers 」,Ebury Digital,2012/3/31
◼️トレイシー・ホッグ「トレイシー・ホッグの赤ちゃん語がわかる子育て大全」,ブックマン社,2006/11/25
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