
実は、日本眠育推進協議会の眠育アドバイザーでもある。
また、いわゆる「ジーナ式」を実際に経験した親でもある。
ジーナ式と検索すると「ジーナ式 後悔」と目にすることがある。
一方で私は、ジーナ式とは全く関係のない立場の眠育アドバイザーでもあり、同時にジーナ式を取り入れたことのある当事者でもある。
その両方の立場から、ここでは「メソッドの是非」ではなく、
早期から生活リズムを整えることには、どんな意味があるのか
乳幼児の睡眠を、どう捉えるとよいのか
について、私なりに考えてみたい。
乳幼児期から生活リズムを整えることのメリット
「体内時計」と呼ばれるものは1歳半〜2歳でほほ成熟、完成すると言われている。
そして、この時期に形づくられた体内時計は、その後の幼稚園・学校・社会生活へとつながる。
もし、学校社会との間に時差のある体内時計が形成されると、次のようなトラブルが想定されている。
- 行き渋り
- 不登校
- 引きこもり
その背景として、
- 朝起きれない
- 慢性的な寝不足
- 集中できない
といった、生活リズム由来の困難が関係している可能性がある。
ただし、体内時計は「一度決まったら終わり」ではない。
ある程度の柔軟性があり、その後の人生の過ごし方で、体内時計をずらすことも修復することも可能だ。
しかし一方で、
- ズレた体内時計を修復するにはそれ相応の時間がかかる
- ズレが大きく、長期化すると修復は困難
という現実もある
だからこそ、体内時計の形成が始まる乳児期からほぼ完成する2歳までは
学校・社会に適応しやすい生活リズムを「教えていく時期」という位置づけには、十分意味があるものと考えている。
体内時計とは何か
「体内時計」とは、身体に備わる様々なリズム調整システムのこと。
主に、次のようなリズムのことである。
- 睡眠と覚醒
- ホルモン分泌
- 体温調整
- 血圧の上下
- 細胞の再生
さらに、次の働きにも深く関わっていると言われている。
- 自律神経の働き
- 脳機能のバランス
- 免疫機能の統率
- 糖代謝のエネルギー産生
- 筋肉調整運動
体内時計の狂いはこれらに影響があると考えると、たったこれだけの情報でも体内時計の重要さは十分にわかる。
体内時計の形成と維持
かつてのように
- 夜は暗く
- 朝は自然と明るく
- 大人も子供も「早寝早起き」
という社会であれば、赤ちゃんの体内時計は特別な意識をしなくても自然に育つと考えられていた。
しかし
- 夜でも明るい
- 大人の生活は夜型
- スマホ・テレビ・照明に囲まれた生活
が前提となった現代では、周囲の大人が意識的に環境を整えない限り、体内時計は育ちにくい。
体内時計は「学習」されたものであり、そして、一度学習された体内時計を安定して保つためには
規則正しい生活習慣/リズム=食事、睡眠と覚醒のパターンを「一定」に保ち続けること
が重要である。
体内時計の形成のために親ができること
1歳半〜2歳でほぼ完成すると言われている体内時計を形成するために我々親ができること、気をつけることはなにか。
妊娠中
体内時計の形成は、実は生まれてから突然始まるわけではない。
- 母体の生活リズム
- 食事の時間
- 睡眠・覚醒のパターン
こうしたものは、胎児にも影響を与えると考えられている。
完璧である必要はないが、
- 朝はカーテンを開ける
- 夜はできるだけ暗く静かに過ごす
- 食事の時間を極端に乱さない
といった「昼夜のメリハリ」は、妊娠中から意識しておいても損はない。
生後1〜3ヶ月
体内時計の形成をそっと後押しする生活リズムと睡眠環境を用意することが大切だと考えている。
具体的には、
- 朝は自然光を取り入れる
- 適切な授乳リズム
- 夜は照明を落とし、刺激を減らす
- 毎日だいたい同じ流れで一日を終える
といった、「昼と夜の違いがわかる環境」を整えていくこと。
この積み重ねが、視交叉上核を中心とした体内時計の統合を助け、その後の生活リズム形成の土台になっていく。
生後4ヶ月以降
生後4ヶ月ごろになると、多くの赤ちゃんで睡眠がある程度まとまってくる。
これは特別なトレーニングの成果ではなく、人間として本来起こる発達のひとつだと考えられている。
この時期には、
- 視交叉上核を中心とした中枢時計が機能し始める
- 全身の末梢時計との連携が強まる
- 夜間のメラトニン分泌リズムが安定してくる
といった変化が重なり、夜に眠り、日中に起きて活動するという概日リズムが、実際の行動として現れやすくなる。
4ヶ月以降は、本来「まとまって眠る力」が備わり始める時期であるという前提を知っておくことに意味があると思っている。
大切なのは「整え直す」こと
でき始めたリズムを生活の中で整え直していく時期になる。
- 起床・就寝時刻を大きくぶらさない
- 適切な合計睡眠時間の調整
- 睡眠を妨げる要因(光・音・タイミング)を減らす
こうした関わりは、赤ちゃんが本来もっている眠る力を邪魔しないためのものである。
体内時計の完成は1歳半〜2歳ごろ
体内時計は、生後すぐに完成するものではない。
一般的には、1歳半〜2歳ごろにほぼ完成すると言われている。
1〜3ヶ月で形成が始まり、4ヶ月以降に実際の睡眠・覚醒として機能し始め、そこから1歳半〜2歳ごろにかけて、(ほとんど)完成へと向かっていく。
2歳以降
体内時計を「作る」から「保つ」へ
2歳ごろを過ぎると、体内時計は大きく作り替えられる段階を終え、
維持されるもの・使われ続けるものへと役割が変わっていく。
この時期以降に重要になるのは、
- 大きく崩さないこと
- 極端なズレを常態化させないこと
つまり、体内時計を新しく作る努力ではなく、すでにできたリズムを保つ生活。
もちろん、
- 生活の変化
- 成長段階
- 一時的なリズムの乱れ
によって、リズムが一時的に揺らぐことはある。
ただ、それは「ゼロから作り直す」という話ではなく、完成した時計の針が少し動く程度のものだ。
ここで思うこと
だから私は、
- 乳児期〜2歳までは
「環境で支える時期」 - 2歳以降は
「崩しすぎない時期」
と解釈している。
どこまで整えるか、どこまで許容するかは家庭ごとに違う。
ただ、体内時計がいつ完成し、その後どう扱われるものなのか、この全体像を知っているだけで、早期から生活リズムを整えることの重要性は、無理なく理解できるようになると思っている。
そして、その手段・参考資料として「ジーナ式」を活用するには理にかなっていると思う。

